2006年07月28日

披雲閣と高松城を見学しました

先日、NPO法人「木と家の会」の9月定例講座があり参加してきました。
今回の講座は高松市の玉藻公園内にある披雲閣を会場としておこなわれました。
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会の活動報告の後、高松市観光ボランティアの方の案内で披雲閣や玉藻公園内にある建物を見学しました。

ご存じのように玉藻公園は、日本三大水城といわれている旧高松藩主松平氏の居城の在ったところで、天守閣は失われていますがお堀に囲まれた園内には、幾つかの重要文化財の建物が残されています。

披雲閣は明治5年に旧建物が老朽化のために解体された後、大正6年に3年の歳月をかけて同じ場所へ建てられた、建坪が約570坪もある広大な木造建物です。

まず正面玄関を入り、左手に行くと素晴らしい大広間があります。
この大広間は二間続きで、4間四方に4本の柱がある以外は、全く柱が無い広々とした間取りになっています。

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こういった、耐力壁のない開放的な木造建築は現行の建築基準法では建築することが出来ませんが、先の南海地震も経験し、健全に建物が残っていることをみても日本の伝統的な木造建築の優秀性を感じます。

大広間の三方を取り巻く縁側の外には、全面にガラス戸が入れられています。
まるで”木と硝子の建築”ともいえるモダンな内観で、その枚数の多さに圧倒されます。
その少し歪んだ景色を透かして見せる板硝子は、まだ当時の日本に作る技術がなく欧州からの輸入品だったそうで、割れずに今でも現役で残っています。

披雲閣にはこの部屋より広い142帖の大書院もあり、この建物の広大さが伺えます。
二階の窓から見るとその大きな屋根が見られます。
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披雲閣の海側に、別棟として建てられている建物の二階からは高松港の海が望める部屋があり、「波の間」というそうです
この部屋には天皇陛下もご宿泊されたことがあるそうで、そのような所を一般の人に公開しているところは少ないのだそうです。

「波の間」は一間幅の廊下に囲まれた二間続きの和室で、趣のある床の間がありました。
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部屋を仕切る欄間には鳳凰の絵柄が透かし彫りされていて、板の小口(板厚部分)に金粉が塗られています。
光の反射で鳳凰が浮き上がるように見えるとのことです。
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内部を見終わった後、外に出て園内にある建物を見学に行きました。

まず、東南にある艮櫓(うしとら やぐら)です。
この櫓は、元は現在の県民ホール辺りに建っていて、丑虎の方角にあったことから艮櫓と呼ばれていたそうですが、昭和40年に解体移築されたものだそうです。
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三重、三階、入母屋造、本瓦葺の櫓の軒垂木は、漆喰で波形に塗り込められていてとても躍動的で上品です。
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中に入ると中央に一本の芯柱が見えます。
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この柱が櫓の最上部まで貫いていて、建物の荷重を支えています。
最上部に登ると、その柱の上に丸太梁が架かっている小屋裏の構造が良く判ります。
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艮櫓を出てすぐの所にある東門の近くの石垣です。
大きな花崗岩が、高い技量で丁寧に組み上げられ、見る者を引きつけます。
大型の機械や電動工具の無い時代ですから、石工の苦労も大変だっただろうと思います。
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披雲閣の横を歩くと、先ほど見学した広間が見えました。
庭の緑とよく調和しています。
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天皇陛下も泊まられた別棟です。
外壁の杉板が時と風雨に耐え、趣を増してとても良い感じです。
新建材では絶対にこうはなりません。
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最後に海側にある北の丸月見櫓(つきみ やぐら)を見学しました。
外壁に飾りの帯が入り、軒先の垂木が判らないように四角く漆喰で塗られているために、先ほどの艮櫓と比べとても男性的な印象を受けます。
外観を見ると、まるで鉄筋コンクリート造かなと勘違いしそうです。
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月見櫓は艮櫓とほぼ同時期の建築ですが、この櫓は四本の大きな通し柱(四天柱)で支える構造となっています。
建築屋というのは、いつの時代にも他と違った試みに惹かれるようです。(笑)
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柱にはチョウナはつりの跡がありました。
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同じ幅と間隔が規則正しく続いています。
腕の良い職人の証拠です。
(チョウナとは曲がった木の柄の先に刃物が付いた大工道具の一つで、現在はほとんど使われていません)


最上階まで伸びた四天柱に四方から梁がかかり屋根の荷重を受けます。
荒々しく無骨ですが、意図しない構造美があります。
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高松に住んでもう長いのですが、今回初めて披雲閣や高松城の遺構を見学しました。
身近に、こんなに素晴らしい建物があったんあだなあと改めて感じさせてくれた講座でした。
posted by こまつ at 12:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 講座・研修
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