2008年05月24日

構造材検査

先日、多肥の平屋に使う構造用木材の検査に行ってきた。

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整然と桟積みされた梁や柱の年輪や節の状態、曲がり具合、色、虫食いの有無などをチェックする。

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居間の杉大黒柱。
節も少なくきれいな良材だ。
乾燥に伴う変形を吸収するため背割りにクサビが打ち込まれ、小口や側面には、少しでも見える面で不要な割れなどが入らないようにビニールでラップされている。

注文は180角だったはずだが、かなり大きく製材されていて240もあった。
削り落とすのももったいないので出来るだけ大きく仕上げてくれるようにたのんだ。
現場での建て方が楽しみだ。

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居間の正角梁。タテヨコ240□、長さは7mある。
この梁は梁間の間隔が長く、荷重負担が大きいので相談し、杉材からより強度と粘りのある桧に変更した。
これだけの径しかないが樹齢は90年生とのこと。
いかに桧の成長には時間がかかるのか改めて感じさせられた。

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今回の木材の内、寸法の大きな梁材は昨年末に伐採し、葉がらし乾燥した60年生の杉材が中心。
生育地も判っている。
(「葉枯らし乾燥」:伐採後、枝葉を付けたまま横たえた状態で数ヶ月放置し、葉からの水分の蒸散作用を利用した乾燥方法)

木材の含水率についても検査したところ、概ね40%〜70%台が多く、一部で90%台も見受けられた。
このように含水率のばらつきの幅があるのが杉材の特徴だ。
これからゆっくりと中温人工乾燥を6日間程度おこない、含水率を概ね30%〜50%程度に下げる。
そして、人工乾燥完了後に木材の4面を機械で削り、桟積み自然乾燥工程を約3ヶ月おこなう。
梁などの構造材はサイズが大きいためなかなか簡単には乾かないので、それなりの手間と時間がかかる。

柱材についてはより色艶を大切にするために、梁材とは別に桟積み自然乾燥を主体とした乾燥工程を行う。

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今回の建物の構造材をお願いしている森昭木材では、昨年から乾燥機の熱源に製材で発生する木屑を燃料としている。
重油の使用は自動運転となる夜間のみで、化石燃料の使用を大幅に減らしたエコ施設となっているのがうれしい。

杉材は含水率が高くバラツキも大きいため乾燥が難しい木材といわれ、乾燥方法もいろいろ行われている。
人工乾燥を使わずに天日の自然乾燥のみの方が、より色艶が良く、エコ度も高いのでいいのだが、狂いの無い状態まで乾燥するためには相当の長い時間が必要で、それは製材後半年以上かかるという意見もある。

一方、120℃程度の温度で乾燥させる高温人工乾燥は、早く、完全に乾燥させることが出来るが、沸点より温度が上がるため、水を多く含む植物である木の細胞に負担がかかる。
そのため、出来上がった木材の表ツラは割れもなく綺麗に見えるのだが、色艶は悪く、内部の乾燥ひび割れや酸性化という現象を引き起こすため、私たちのやっている伝統木造構法には不向きとなる。
樹液が流れ出て、焦げ茶色になった高温乾燥材の小口に鼻を近づけると、酸っぱいような独特の臭いがする。
木を殺した証拠だ。

(高温乾燥材による柱のホゾ。構造上重要なホゾの廻りに多数のひび割れが見える)
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中温人工乾燥は最高70℃程度の温度で乾燥するため、これだけでは完全には乾かない。
そのため自然乾燥との併用が必要となり、相応の時間がかかるが、内部ひび割れや酸性化は問題ないことが試験により確認されている。
よく問題となる色艶や香りは自然乾燥だけの場合にかなわないものの、ある程度の年月が経過した場合に見分けることは難しいのではないだろうかと思う。

工期と品質のバランスを考えると、現在のところ中温人工乾燥+自然乾燥の併用がベターではないかと考えているが、まだまだ研究していかないといけないことも多い。

posted by こまつ at 07:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 多肥の平屋
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