2006年02月09日

土壁はなぜ家づくりに使われないのか?

昨日、土壁ネットワーク(設立準備中)の方から呼びかけがあり、「土壁の問題」についてメンバー数人と県庁に赴き、県の担当者と意見交換をおこないました。

その「土壁の問題」とは少し長くなりますが以下のようなことです。

「宮脇町の家」では外壁などに伝統的構法として貫を柱に通し、竹小舞い下地のいわゆる土壁を塗っています。


土壁は、以前はごく普通の家づくりの構法として広く日本中で行われていたのですが今は非常に少なくなっています。
それは「より早く、より安く」を目指した作る側の都合と、住宅の商品化による情報の偏りによりつくられた住まい手側の嗜好の変化などが大きな要因と考えています。

また、行政側も自然素材を多用する伝統構法の構造的解析の難しさや規定の定め難さのために今までおざなりに放置してきた課題でした。
それが平成13年度の「長寿命木造住宅推進方策検討事業」の一環として行われた土塗り壁等の壁倍率試験を基に再評価がされて、平成15年12月9日の建築基準法の告示改正となり、土壁の壁倍率(耐力)は従来の0.5倍から最大1.5倍に大幅アップしました。



今まで建築確認申請において土壁だけでは要求される壁量が確保できず、筋交いや構造用合板を張っていたのですが、土壁を含めた伝統構法でなんとか家の構造をまかなえるようになったのです。
私たちはこの土壁の再評価が伝統構法全体の再評価や普及につながるものとして大変喜んだのですが、現実の運用面では新たな問題に直面しました。

告示に、竹小舞いに使う竹の太さや幅、間隔などが、自然素材の特性を無視して細かく規定されていた為に、中間検査における細かい指導を受け現場では大変苦慮することになったのです。



また、竹小舞いなどの施工性が落ち、竹材の歩留まりも悪化しました。
それはそのまま土壁のコストを押し上げる要因となってしまいました。

本来、伝統的な家づくりの再評価につなげるための告示改正がその運用面で反対の作用をし、ますます手の届かない場所に土壁を追いやっているのです。

それに輪をかけて「使用する壁土について、圧縮試験をしなければ中間検査の合格とはしない」との県の行政指導があり「宮脇町の家」もその適用を受けました。
このことは告示には何も規定されておらず県の独自判断であり、全国的にも聞いたことがない特異な指導でした。
コンクリートなどと違い壁土の圧縮試験は3ヶ月以上もかかる大変な作業なのです。

さすがに、これには私たちも驚き憤慨しました。
その為、この「壁土の圧縮試験」の指導についての県側の真意について確かめるために話し合いの場をもったのです。
話し合いの結果、一度出てしまった行政指導は撤回されることはありませんでしたが解決の糸口は見つかりそうです。

土壁は木の家の構造にとって、なくてはならない最良のパートナーですし、日本の大切な文化です。
しかし現実には土壁を”構造体”として使いたくても使えない状況がつづいています。
こんな不合理な状況を少しでも改善できるよう、へこたれず皆で力を合わせてもう少しがんばってみようと思います。
posted by こまつ at 06:05| Comment(6) | TrackBack(0) | 木の家
この記事へのコメント
はじめまして。土壁を使った設計を手がけている東京の遠野と申します。土壁ネットワーク葉今どうなっていますか?参加できればと思っています。
御返事いただけますと有難いです。どうぞよろしくお願いします。

遠野未来建築事務所 遠野未来
Posted by 遠野未来 at 2008年02月03日 21:23
はじめまして。
コメントをいただきありがとうございました。
東京で土壁の家は、壁土の入手からして大変ではと想像しています。

さて、現在土壁ネットワークは丸亀市のポリテクカレッジと協力し、今年度の実験を進めています。
今年度は間柱の欠損のある壁や、昨年の実験で使った構造フレームと小舞竹を再使用した修復土壁モデルをつくって実験したりしています。
詳しくは「土壁ネットワーク」で検索していただいてHPをご覧下さい。

参加申し込みもHPからできると思います。
ご参加をお待ちしております。(^_^)

Posted by こまつ at 2008年02月05日 18:35
土壁ネットワーク是非参加させていただきます
おあいできるといいですね
Posted by 遠野 at 2008年10月25日 22:40
土壁ネットワークへのご参加ありがとうございます。 先日の建築士会全国大会徳島の展示ブースにおきましても土壁ネットワークの活動につきまして展示がありました。沢山の方がブースに足を止めて観ていただき評価も高かったように思います。 それでは、お会いできる時を楽しみにしております。
Posted by こまつ at 2008年10月27日 18:42
家を建て替えようと住宅展示場を見て回っています、いろいろ見るうちに余計に自分が求めているものが判らなくなってしまいましたが、土壁が使われた家を作れればそれがやはり一番良い選択のような気がしてきました、自分の場合実現性はかなり低いですが他の人には是非挑戦していただきたいと願います。
Posted by 金子陽一 at 2009年01月25日 22:55
金子様、コメントありがとうございます。
今、家を建てようと考えている人は見学会やインターネットなどで、わりと簡単に様々な情報を手に入れることが出来、良い時代になったと思います。
しかし、一方でその情報量の多さに整理がつかなくなり、かえって自分の求めているものが判らなくなり困っているようにも感じられます。
土壁のことにしても「何となく良いらしい」ではなく、しっかりとした技術的な知識必要で、信頼できる専門家と共に考えることが大切だと思います。
金子様に、よい家づくりが出来ることをお祈りしています。
Posted by こまつ at 2009年02月03日 23:31
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