2009年09月15日

明治の瓦

雨漏りの修繕を依頼されて三木町のお宅を訪問した。

IMG_0062.jpg
その家は寄せ棟の大屋根の四方に下屋が付属している典型的な讃岐の民家のつくりをしており、黒漆喰で塗られた下屋と大屋根の壁には、2ヶ所の「虫籠窓」(むしこまど)がある。
明治23年に建てられたそうで、そろそろ築120年近い家だ。

漏水箇所はすぐに判った。
多分、傷みのひどい鬼瓦の周辺だろう・・・。
IMG_0019.jpg


ふと、下の下屋の瓦を見ると、あちこちで瓦の表面が弾けたように割れていた。
いぶし瓦は普通耐久性が60年以上あるとされており、それから考えるとずいぶん劣化が進んでいる。

IMG_0058.jpg

IMG_0051.jpg

寸法誤差も大きく手の指が入るくらいの隙間もある。
20090914_019.jpg

下屋は35年ほど前に新品の瓦に葺き替え他とのことだが、どうも瓦の品質が良くなかったようだ。

一緒に点検した瓦工事会社の担当者に聞くと、この頃の瓦は製造過程での粘土の圧密が弱く、燃焼時間も比較的短く焼き締めが不十分だったとのこと。
それが原因ではないかとのことだった。
そういえば先月修繕した塀の瓦も、同じ時期の製品で同じように弾けるように割れていた。
この時期の瓦は全体的に品質が悪いということなのだろう。

20090914_017.jpg
大屋根に拭かれている明治23年の瓦の方が汚れてはいるが、明らかに品質は上だというのが判る。
この頃の瓦は焼成温度は現代より低いものの、長時間焼き締めているため耐久性があるらしい。

戦後の建築ブームの頃の粗製乱造品と手作りで丁寧に作られた時代の品物の対比がものづくりの基本を教えてくれているようだ。

posted by こまつ at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 木の家

2009年09月10日

法然寺五重塔

お誘いがあり法然寺の五重塔の建築現場を見学させていただいた。

IMG_0041.jpg
現場には大きな素屋根がかかり槌音が漏れ聞こえる。
駐車場にある看板には外観のパースがあり完成時の五重塔の姿をアピールしている。

ヘルメットをかぶり、元請けの大成建設さんにご案内いただきながら場内へ。
IMG_0016.jpg

まず、目に飛び込んできたのは中心に建つ立派な心柱(しんばしら)。
樹齢350年の吉野桧だそうだ。
元口で直径500mmあり第1重では円形、上層では8角形に加工されている。
長さは13mあり、基壇(きだん)の礎石(そせき)から最上部までつらぬき通され、先端には相輪(そうりん)が載るようになる。

よく見ると側面に乾燥による干割れが入っている。
丸太のひび割れは、表面をひねるように旋回しながら割れることが多いが、機械で挽き割ったように真っ直ぐ垂直に割れているのには驚いた。
吉野の山守(やまもり)が木の性(しょう)をみて厳選した一品で、伐採後、葉っぱを付けたまま、山で半年間葉枯らし乾燥した後、重さが5t程度になったのを確認してヘリコプターで出材したそうだ。

IMG_0023.jpg
工事は昨年の3月26日に起工式、立柱式が今年の7月に行われ、現在は1重の垂木取付が施工されている。
工事は来年の10月に完成とのことなので、その際には盛大な落成式が催されることだろう。

IMG_0014@3.jpg

現場では4人ほどの大工さんが作業をしている。
黙々と作業をする大工さんを見てみると20代から30代くらいで、みんな若い。
後継者不足が叫ばれる大工職の世界だが、こうやって日本の伝統建築の技術が次の世代に伝わっていくのをみると嬉しくなる。

IMG_0029.jpg

この大工さん達は全員金剛組の社員さん。
金剛組は西暦578年創業の社寺建築を得意とする建設会社で、聖徳太子の時代から続く世界最古の企業といわれている。 http://www.kongogumi.co.jp/index.html
Tシャツに染め抜かれた社名が誇らしげ。

IMG_0018.jpg
地垂木(じたるき)の上に載る、木負(きおい)には、丁重に櫛歯形の欠き込みがされ、飛えん垂木(ひえんたるき)が整然とはめ込まれ美しく並んでいる。
先端の茅負(かやおい)は端部にかけて反りが施されており優雅な印象だ。

IMG_0022.jpg
その茅負の継ぎ手は”箱シャチ”のようだが外部側が斜めに加工されているのでより継ぎ手が分かり難い。

IMG_0031.jpg
第1重の肘木の組み物も丁重に組み上げられて白木が美しい。
木材の小口には白い胡粉(ごふん)が塗られていてより立体感が増している。

IMG_0034@2.jpg
心柱の礎石(そせき)には寄進者の名前が彫られている。
傍らの電気配管が現代の仏塔だということを物語っている。

IMG_0039@2.jpg
各層の四隅には鋼製の太いタイロッドが設けられ各層を引きつけている。
構造計算(限界耐力計算)で必要になったらしい。
外周の円柱の足元にも礎石から縦にステンレス鋼のダボ栓が埋め込まれ横ずれを止めているらしい。
昔のように礎石の上に置いているだけでは確認申請が通らないのだろう。

今日はとても良いものを見せていただき、ご案内くださった関係者の皆さんに大変感謝です。



posted by こまつ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝統建築

2009年07月26日

犬島の石塀

犬島は古くから良質の花崗岩の産地だったそうだ。
そのせいか、集落を散策していると家の外周に石積みの塀を巡らせている家がよく目につく。
土色の錆石の表面が風雨を受け、どっしりとしたその佇まいが独特の町並みにとけこみ、良い風合いになっている。

IMG_0034.jpgIMG_0038.jpgIMG_0074.jpg


石を切りだした後には、雨水が溜まり巨大な池になっていた。
島民の方はプール代わりにここで水泳するとのこと。
でも、深さが30mあるらしい・・・。
足は立ちませんな〜(笑)
IMG_0144.jpg



posted by こまつ at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 町並み

2009年07月25日

犬島の焼き杉板

岡山県の南に浮かぶ小さな島「犬島」に行ってきました。
ここは、「犬島アートプロジェクト」で今大注目の島です。
精錬所美術館を観る前に島内を散歩しました。
島の家の外壁は焼き杉板が多く、風雪に耐え良い感じの味わいを醸しだしていました。
IMG_0026.jpgIMG_0042.jpgIMG_0055.jpgIMG_0071.jpg
posted by こまつ at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 木の家

2009年07月22日

白太と赤身

木を輪切りにした時、丸い断面の外周部にある白っぽい所を白太と呼びます。
一方、白太に囲まれた中心部分の赤っぽい所が赤身です。
赤身は白太に比べ、腐りやカビの発生が少ないことが知られています。
IMG_0050.jpg
今日、製材所で見たマツ丸太。
白太部分には見事に緑色のカビが発生していたが、赤身は全く発生しておらず、赤身の耐腐朽性の高さを示していた。

この特徴はマツに限らずスギやヒノキでも同様で、私たちの家づくりでは、この特徴を生かし、建物の土台や外壁・デッキなどの水濡れヶ所や室内の水回りなどに赤身材を使うようにしています。
安易な防腐剤処理に頼らない木の本来持っている特質を最大限生かし切る伝統的な家づくりの知恵の一つです。
posted by こまつ at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 森林・木材

2009年07月06日

土壁と筋交い

IMG_0017.jpg
7月1日に丸亀のポリテクカレッジで「1間土壁+筋交い」の実大実験があり見学してきました。

IMG_0010.jpg
実験開始直後。
変形角は1/150rad付近
隅角部の土が少し圧縮によって壊れ始めている。

IMG_00142.jpg
外部面の筋交い。
まだ、変形も少なく健全。

IMG_0020.jpg
変形角が大きくなっていくと土壁にはせん断破壊のひび割れが入る。
最大耐力は1/50radで出た28.3KN。
筋交い無しと比べると倍近い耐力が出ている。


IMG_00523.jpg
最大変形角1/15rad以上で、土壁は大破して、筋交いは驚くほど湾曲している。

IMG_0056.jpg
筋交いはその後バキッと折れてしまった。

土壁と筋交いの併用は古い伝統構法には無かったので、比較的新しい工法のように思う。
この実験の結果からも判るように、土壁と筋交いは破壊性状が違う。
そのことが昔の大工が併用構法をしなかった理由のように思えてならない。

また、実験の結果からも壁倍率を単純に加算するべきではないことが判る。
実際に土壁の家をつくる者として気をつけなければならない。
posted by こまつ at 03:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 土壁

2009年02月06日

金沢の町屋

この冬、金沢に行った。
金沢は百万石の旧城下町。
戦災にあわなかったので、黒光する瓦を載せた歴史を感じさせられる古い建物が市内に多く残っている。
また、人びとの暮らしにも伝統的な日本人の息遣いが感じられるように思う。
金沢市では、町並みの保存や再生の制度が整備されており、それに伴う事業も盛んに行われている。
ここで暮らしている人びとが、自分たちの町を誇りとして感じ、後世に伝えていこうとしていることがわかるような気がする。
http://www4.city.kanazawa.lg.jp/11104/bunkazaimain/bunkazaimain.jsp

08_12_31_8020.jpg

08_12_31_8021.jpg

08_12_31_8027.jpg

建物のちょっとしたところに、なによりも仕事の質を大切にした名も無き職人達の心意気が・・・。
08_12_31_8023.jpg

08_12_31_8042.jpg
posted by こまつ at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 町並み

2008年05月24日

構造材検査

先日、多肥の平屋に使う構造用木材の検査に行ってきた。

Si.jpg
整然と桟積みされた梁や柱の年輪や節の状態、曲がり具合、色、虫食いの有無などをチェックする。

2.2.jpg
居間の杉大黒柱。
節も少なくきれいな良材だ。
乾燥に伴う変形を吸収するため背割りにクサビが打ち込まれ、小口や側面には、少しでも見える面で不要な割れなどが入らないようにビニールでラップされている。

注文は180角だったはずだが、かなり大きく製材されていて240もあった。
削り落とすのももったいないので出来るだけ大きく仕上げてくれるようにたのんだ。
現場での建て方が楽しみだ。

3.@O.jpg
居間の正角梁。タテヨコ240□、長さは7mある。
この梁は梁間の間隔が長く、荷重負担が大きいので相談し、杉材からより強度と粘りのある桧に変更した。
これだけの径しかないが樹齢は90年生とのこと。
いかに桧の成長には時間がかかるのか改めて感じさせられた。

4..jpg
今回の木材の内、寸法の大きな梁材は昨年末に伐採し、葉がらし乾燥した60年生の杉材が中心。
生育地も判っている。
(「葉枯らし乾燥」:伐採後、枝葉を付けたまま横たえた状態で数ヶ月放置し、葉からの水分の蒸散作用を利用した乾燥方法)

木材の含水率についても検査したところ、概ね40%〜70%台が多く、一部で90%台も見受けられた。
このように含水率のばらつきの幅があるのが杉材の特徴だ。
これからゆっくりと中温人工乾燥を6日間程度おこない、含水率を概ね30%〜50%程度に下げる。
そして、人工乾燥完了後に木材の4面を機械で削り、桟積み自然乾燥工程を約3ヶ月おこなう。
梁などの構造材はサイズが大きいためなかなか簡単には乾かないので、それなりの手間と時間がかかる。

柱材についてはより色艶を大切にするために、梁材とは別に桟積み自然乾燥を主体とした乾燥工程を行う。

IMG_0227.jpg
今回の建物の構造材をお願いしている森昭木材では、昨年から乾燥機の熱源に製材で発生する木屑を燃料としている。
重油の使用は自動運転となる夜間のみで、化石燃料の使用を大幅に減らしたエコ施設となっているのがうれしい。

杉材は含水率が高くバラツキも大きいため乾燥が難しい木材といわれ、乾燥方法もいろいろ行われている。
人工乾燥を使わずに天日の自然乾燥のみの方が、より色艶が良く、エコ度も高いのでいいのだが、狂いの無い状態まで乾燥するためには相当の長い時間が必要で、それは製材後半年以上かかるという意見もある。

一方、120℃程度の温度で乾燥させる高温人工乾燥は、早く、完全に乾燥させることが出来るが、沸点より温度が上がるため、水を多く含む植物である木の細胞に負担がかかる。
そのため、出来上がった木材の表ツラは割れもなく綺麗に見えるのだが、色艶は悪く、内部の乾燥ひび割れや酸性化という現象を引き起こすため、私たちのやっている伝統木造構法には不向きとなる。
樹液が流れ出て、焦げ茶色になった高温乾燥材の小口に鼻を近づけると、酸っぱいような独特の臭いがする。
木を殺した証拠だ。

(高温乾燥材による柱のホゾ。構造上重要なホゾの廻りに多数のひび割れが見える)
IMG_0077.jpg

中温人工乾燥は最高70℃程度の温度で乾燥するため、これだけでは完全には乾かない。
そのため自然乾燥との併用が必要となり、相応の時間がかかるが、内部ひび割れや酸性化は問題ないことが試験により確認されている。
よく問題となる色艶や香りは自然乾燥だけの場合にかなわないものの、ある程度の年月が経過した場合に見分けることは難しいのではないだろうかと思う。

工期と品質のバランスを考えると、現在のところ中温人工乾燥+自然乾燥の併用がベターではないかと考えているが、まだまだ研究していかないといけないことも多い。

posted by こまつ at 07:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 多肥の平屋

2008年04月20日

春盛り

現場近くの畑の麦が風に揺れていました。
IMG_00632.JPG

よ〜く見ると、穂の先に小さい黄色の粉のような花が付いています。
IMG_00661.JPG

見上げるとツバメもいて・・・。
春盛りですね。
IMG_0039.jpg
posted by こまつ at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然

2008年04月19日

基礎コンクリートの打ち込み

今日、「多肥上町の家」の基礎コンクリートの打設をしました。
IMG_0060.JPG
この周辺は比較的地盤がいいので通常のベタ基礎です。
打ち込みに先立ち、生コン工場から出荷されたコンクリートの品質検査をします。
柔らかさや含まれている空気の量と塩分の量などを、機具や試験用品を使って調べ所定の品質であるかどうか確認するのです。
IMG_0053.jpg

検査後、問題なければ丸い円筒状のテストピースを採ります。
1週間後と4週間後にこれを試験器で壊して打ち込んだコンクリートの圧縮強度を調べます。
こうすることで基礎コンクリートの品質が保証されるのです。
posted by こまつ at 13:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 多肥上町の家